・・・第61回 中部国展が、愛知県美術館で開催されていますので、(版画部)受賞作品及び展示作品を紹介します。
第61回 中部国展(2023/10/24~10/29)
- 開催場所:愛知県美術館8F、名古屋市東区東桜1丁目13-2。TEL052-971-5511
- アクセス:地下鉄東山線・栄。
- 開催時間: AM10:00~PM6:00(最終日はPM4:00迄)。
受賞作品
・・・敬称略、あいうえお順に記載します。
中部国画賞
石川敦之(会友):群空間Ⅲ(木版)
・・・「愛知芸術文化センター」の計画・建設に携わった建築士。独特の表現力で、ヨーロッパの建築物をテーマとする。
新人賞
山口久子(会友):水面の唄(銅板)
奨励賞
内藤三香(会友):カラス43(木版)
展示作品
・・・展示作品を会員、準会員、会友、一般の順に掲載します。
会員
・・・敬称略、あいうえお順に記載します。
大隅東也:Divergence 巡回委員
小原喜夫:風神
・・・精神性に富んだ作風は、海外でも評価が高く作品は海外の美術館にも多数所蔵されている。
佐藤豊子:My World 39
・・・細かい線の彫りと独特のコラグラフ。木版画を愛する情熱と、粘り強い穏やかな心を持つ作家。
末平博子:明日への行方’23-5
鈴木洋子:沈黙 23ー9-C
畑 涼一:Bamboo42
・・・彫りのスペシャリスト。二版の組み合わせで多様な表現を可能にするのが特徴。経験豊かな彫りの第一人者。
羽多野豊子:夢ひと夜ー14
・・・花火が大好きです。作品からほとばしる力強い熱気に、パワーをもらいます。
廣江嘉郎:ダンス&アートエレジー
米倉泰民:祭司
・・・グラデーションとさまざまな形と細い平行線で描かれる作品の展開には、毎回驚きと新鮮さを感じます。貴重なシルクスクリーン作家。
我妻正史:あの日の記憶 05ー1
準会員
・・・敬称略、あいうえお順に記載します。
浅井重一:湿原の風景Ⅷー1
・・・油絵、銅板画制作を経験、そして現在は木版と水彩画を受講。期待の中年の星。
恵子:景’23ー2
会友
・・・敬称略、あいうえお順に記載します。
石川敦之:群空間Ⅲ
中部国画賞に記載
山口久子:水面の唄
新人賞に掲載
山口久子:ひぐれどき
一般
・・・敬称略、あいうえお順に記載します。
徳山ヒデミ:鳥と花と(1)
徳山ヒデミ:鳥と花と(2)無鑑査
内藤三香:42
内藤三香:43
奨励賞に掲載
松元哲:スクウエア2
松元哲:スクウエア4 無鑑査
その他
我妻正史(会員)美術の窓、9月号に掲載
あの日の記憶 023-1
与えられた使命
2011年3月11日の東日本大震災は、我々に大きな衝撃をもたらした。
宮城県を故郷とする筆者は、在住する愛知県からすぐに現地に赴いた。
以来、我妻作品における重要なテーマとして「あの日の記憶」シリーズが続いている。
地震や津波で破壊された状況を、強い心象的表現を用いた版画作品として発表してきたが、
最新作である上掲の「023-1」では、人々の顔が具体的に表れてきている。
今年の国展で今作品を見て驚いた。作者自身さえ驚いたかもしれない。
岩やコンクリートをイメージさせる波打つ空間に、
生者とも死者とも思われるイメージが浮かび、こちらに語り掛ける。
十年以上経った現在になって、作者自身の内側から自然と現れたのだろう。
震災翌年から始まり、一昨年には、被害者と焚火を囲んで夜を明かして語り合ったイメージを表現した「021-1」など、
時の経過とともに徐々に記憶が薄れるどころか、より鮮明になってきているようにさえ思われる。
これまでの一連のてきた流れを見てきたからこそ、そう思う。
滾るような強い思いを持ち続けると同時に、客観視することで我妻作品のリアリティは生まれる。
実に生々しく恐ろしい、しかし、だからこそのメッセージ性の確かさ。
表現せずにはいられないのだろう。自身に与えられた使命を全うすべく、制作を続けている。
美術の窓9月号(P102~103)より記載。
あの日の記憶 「021-1」
あの日の記憶 「022-1」
あの日の記憶 「019-1」
木下富雄展(2023/10/11~2024/1/8)
・・・忘れえぬ「顔」の版画家、「木下富雄展」が開催されていますので作品を紹介します。
三重県立美術館が、木下富雄氏の生誕100周年を記念し特別展示するものです。
- 開催場所:三重県立美術館、TEL0590-227-2100
- アクセス:(JR/近鉄)津駅より徒歩10分。
- 開催時間: AM9:30~PM5:00(最終日はPM4:30迄)。
- 講演会:10/14、PM2:00~90分程度。講師、小原喜夫。
<ご参考>
沼田豊彦 回顧展(2023/10/24~29)
・・・国画会会員であった沼田豊彦氏が今年5月に逝去されました。
同氏の回顧展が中部国展と同期間に大黒屋画廊で開催されました。
- 展示場所:大黒屋2F画廊、名古屋市中区錦3丁目19-7。
- アクセス:地下鉄東山線・栄・伏見。
- 開催時間: AM11:00~PM6:00(最終日PM4:00)。
<ご参考>
第61回 中部国展(版画部)のまとめ
・・・20年超版画を続けて一昨年、後期高齢者の仲間入りをした現在です。
話題は作品や作風の変化に加え、作家さんの安否や健康状態におよびます。
因みに、中部地区の国画関連作家の動きは、我妻正史氏の作品が美術の窓9月号に掲載されました。
また三重県美術館で、木下富雄展(10/13~2024/1/8)及び小原先生の同講演会(10/14)があり、
加えて現在、沼田豊彦氏の回顧展が名古屋市錦の大黒屋画廊で開催されております。
今後も「中部国展」の発展と、作家の方々のご活躍を楽しみにしています。
最後までご覧いただき有り難うございました。