アート

第28回 火耀会 木版画展:作品紹介、交換会作品、課題作品、小作品(蔵書票・年賀状・暑中見舞い)

 

・・・朝日カルチャーセンターにある木版画教室の仲間が、日ごろの制作活動の発表の場として毎年展示しております。

第28回 火耀会 木版画展

・・・今年で第28回となり展示場は、名古屋栄市民ギャラリー8階で開催されます。

  • 開催場所:名古屋市中区栄4丁目1-8、中区役所ビル8F。
  • 開催期間:2023/11/21~11/26。
  • アクセス:地下鉄東山線・栄、中区役所7F。
  • 開催時間: AM9:30~PM6:00(最終日:PM5:00)。

木版画ファンの方・お知り合いの方など、生徒の作品を楽しんでいただければ幸いです。

作品紹介

講師:畑涼一

・・・彫りの技術を極めたスペシャリスト。竹をモチーフに、2版の使用で表現できるとは驚きです。

笹の葉の様々の彫りの技をご覧ください。従来の抽象画から具象画が顔をのぞかせます。

<Bamboo 44>

 

<Bamboo 45>

 

生徒:昼の部

木村忠夫

顔の表情の捉え方が面白い。版画(反転して彫る)で字を勢いよく表せるベテラン。

<広目天>

 

<多聞天>

木野聡美

猫とバイク(単車)が大好きな奥さん。彼女のポエム的な作品は、絵本にピッタリ!。

猫の周りを黒で囲む!木口(こぐち)木版の上達ぶりもすごい!服装・顔の表情など、近づいてご覧ください。

<舞台プリンセスキャット>

 

<舞台プリンスキャット

近藤盛英

作家自ら棚田を維持するボランティアとして奉仕活動中。

棚田を愛する作家、帰り道3部作品に棚田愛が伝わってきます。

<帰り道 5>

 

<帰り道 7>

 

<帰り道 8>

 

末 崇子

水彩・油絵・彫刻など経験、現在木版画に転向し活躍中です。

フランスを訪れる機会が多く、同国の風景と花の作品が多い。

<陶磁博物館(ルアン)>

フランス北部にある都市ルアンは、ジャンヌ・ダルク終焉の地。

モネで有名な大聖堂が見もの、 しばらく滞在したことのある、彼女のお気に入りの街。

博物館前の赤い車を黄色にしたことで、博物館の存在感を高め、画面が一体化。

更に、空に軽く2か所の薄い雲が画面を広く感じさせるのに効果的。

<マイガーデン>

花をモチーフとした作品の周囲に、余白を残す手法は独特です。優雅な雰囲気と優しさを醸し出しています。

 

内藤三香

カラスはただの黒一色でないことを知りました。黒の中にくすんだ黄緑・紫なども発見できます。

版数も7~8版使用し、たくさんの色を使い表現する作品が特徴です。小作品も見逃せません。

<カラス40>

 

<カラス41>

羽根由子

自然を愛し、従来から描いていた日本画は休止し、木版画と水彩画を中心に制作活動中。

さらに現在、色鉛筆を使ったペン画でのスケッチを日常的に行っています。

猫大好き、作品のどこかに猫がいます。今年の夏、夫とともに個展を31年連続開催ました。

<ご参照>個展30回記念では、地元新聞でも話題になりました。

<あっ!カワセミ>

 

あっ!蝶々>

 

三宅 重

版画に取り組む情熱と研究熱心さはぴか一、作品の題材も広範囲です。

自然と四季の中で、釣りと山登りを愛する健康ミドル。画面の中に、空間と空気を感じさせる作品です。

<春萌える>

 

<秋装う>

 

横川美代子

俳句と版画の二刀流、創作活動にトライするスーパークリエイター。毎年楽しみです。

<岡本かの子>どの角度から見ても、岡本かの子の目線に追われるので気になります。

<岡本かの子女史>

 

<坂本龍一>

生徒:夜の部

浅井重一

油絵・銅板を経験後、現在木版画でも才能を発揮中。さらに水彩画も勉強中です。

国画・水彩協会の版画作品も高い評価を受けています。

<湿原の一隅(1)>

 

<湿原の一隅(2)>

 

石川敦之

愛知芸術文化センター(愛知県美術館)の計画・建設にかかわった建築士。

風景に溶け込む中世ヨーロッパの建築物が清々しい。こよなく愛する建造物の簡略化に成功!

国画・水彩協会共、受賞が多く独特の画風は評価がたかい。

<群空間Ⅳ>

 

坂井陽子

面白い樹を探して、常にスケッチ。迫力ある大胆な構図、伸びしろ無限の有望株です。

版画歴は浅いが、樹の皮の捉え方がユニーク!面白いですね~何か持ってます。

<樹3>

 

<樹4>

 

坂倉 健

羨ましい発想!自由で大胆な構図!見ていて楽しくなる版画です。

作品2点、思わず?とつい立ち止まって考えてしまう。作者の思惑に乗ってしまった自分に気づきます。

<エレファント>

 

<What 2>

 

佐藤豊子

糸くずを工夫し貼り付けたマチエールが独特。細かい作業。

作品2点、それぞれの形及び彫りの変化の面白さを堪能いただければ幸いです。

<My World 40>

 

<My World 41>

藤崎増男

450年以上前から熱田神宮に存在する信長塀(築地塀)。

築地塀の模様の組み合わせと独特のマチエールが作品のどこかに入っています。

「十人十色-2・3」は、人間と集団の関係を表現してみました(右下に小さな□をいれて変化)。
<十人十色-2>

 

<十人十色-3>

 

「時空」幼少期、皆さんと同じように星空を眺めながら、宇宙に対する疑問や不思議を感じました。
そして後年、曜変天目茶碗の中に小宇宙を感じ、過去と未来の空気感を表現できないか「時空」で挑戦しました。
<時空>
<ご参考>制作過程、木版画「時空」-3、制作工程

 

交換会作品

・・・交換会作品は、木版教室で版画作品作りに切磋琢磨している、生徒同士の作品の交換会です。

毎年一回、サイズはA4以内の作品を教室の人数分だけ作ります。

互いに交換したのち、先生が中心となり講評します。

交換作品作品コーナー

<交換作品、全体>
<右2列部分>
<中2列部分>

左上段に「三寺まいり」の作品

・・・左上段の作品は、横川美代子さんの作品で飛騨市古川町の伝統行事「三寺まいり」です。

写真:横川美代子さん、「三寺まいり」木版画作品。

新聞記事「三寺まいり」

岐阜県飛騨市古川町で15日、円光寺と本光寺、真宗寺を参拝する「三寺まいり」があり、

着物姿の女性や住民らが白壁土蔵が残る町並みを巡った。

親鸞聖人の命日前後に営む法要「報恩講」が起源で、良縁成就を願う行事としても知られる。

参拝者らは高さ約2メートルの雪像ろうそくが並んだ街を行き交った。

町内を流れる瀬戸川沿いでは紅白のろうそくをともす「千本ろうそく」もあった。

同県高山市の会社員西洞歩美さん(41)は「石川県で震災もあって、つらい思いをしている人がいっぱいいると思う。

早く穏やかになるように」と、子ごもと一緒に手を合わせた(中日新聞2025/1/16)。

写真:岐阜県飛騨市古川町で15日、「三寺まいり」(中日新聞)。

 

<左下1列>

課題作品

・・・今年の課題は、「ピーマン」でした。生徒それぞれが独自の感性で課題の「ピーマン」を版画作品で表現します。

<ご参考>課題作品展示会作品

小作品(蔵書票・年賀状・暑中見舞い)

・・・小作品の展示です。上段は、蔵書票(自分の所有本を示す票)と決めてあります。

蔵書票に作者の名前も記入してあります。中段は、年賀状。下段が暑中見舞いです。

小作品コーナー

<小作品、全体>
<右上部分>
<右下部分>
<左下部分>

特別展示:向井久美子「夕焼けの大地」

・・・向井久美子氏は、旧満州引揚者、逃避行「画文集、夕焼けの大地」の著者。

昨年の展示会の後、体調を崩され退会されました。

現在リハビリ中ながら、講演活動にも尽力されていらっしゃいます。

特別展示、概要

実体験と記憶に基づく作品の多くは迫力あり、根強いファンが多く、一部の新聞記事を含め今年は特別展示としました。

<展示コーナー>

写真:向井久美子「夕焼けの大地」展示コーナー。
<新聞記事>
写真:2020年9月3日付、中日新聞

 

写真:2023年6月24日付、朝日新聞。
<左:夕焼けの大地(父の話)、右:ハルピン・無力(Ⅱ)>
<左:満州・不安な夜、右:満州・泣いたらあかんよ(姉の話)>
<左:この子を黙らせろ、右:渇きⅡ(姉の話)>
<左:匪賊に襲われる、右:引上げ列車が止まると>
<左:中国人にもらわれていく私(姉の話)、右:満州・進退きわまって(集団自決)>

<ご参考>夕焼けの大地

火耀会木版画展のまとめ

・・・朝日カルチャーセンターにある木版画教室の仲間が、日ごろの制作活動の発表の場として毎年展示しております。

今回、向井久美子氏「夕焼けの大地」の展示を試みとし特別展示しました。

作家にとって木版画教室は、仲間同士の個性が発揮され、切磋琢磨する場所であります。

また、その環境の中でレベルアップがなされ、木版画の発展を維持しながら作る楽しさを学びます。

木版画ファンの方など、生徒の作品を観る楽しさを感じていただければ幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。