火耀会木版画展
・・・朝日カルチャーセンターにある木版画教室の仲間が、日ごろの制作活動の発表の場として毎年展示しております。
今回で第27回となり展示場は、名古屋栄市民ギャラリーとなりました。開催期間は(2022/10/18~10/23)です。
木版画ファンの方・お知り合いの方など、生徒の作品を楽しんでいただければ幸いです。
作品紹介
講師:畑涼一
・・・竹をモチーフに、彫りの技術を極めた作品。2版で表現できるとは驚きです。
彫りのスペシャリスト、トップクラスの様々な彫りの技をご堪能ください。
<Banboo28>
生徒:昼の部
川合勇夫
過去の作品「上手は下手の見本、下手は上手の見本」が、頭をよぎります。
昨年まで毎月のカレンダーを展示、素朴な表現は大変好評でした。
もうすぐ88歳になるという同級生の方が来場されました。
「彼は、ウイットに富んだ面白い人だよ」とのことでした(納得です)。
今年の作品、葉っぱを緑一色の思い切り!、ランタンから漏れ出した光!ご注目いただければ幸いです。
<ランタン>
木野聡美
猫とバイク(単車)が大好きな奥さん。
新天地と夜の街中~何か物語が始まりそうです。
彼女のポエム的な作品は、絵本にピッタリ!
始めたばかりの木口(こぐち)木版の上達ぶりもすごい!
<流浪の猫、新天地を求めて>
<流浪の猫、夜の街中にて>
木村忠夫
筆使いの勢いそのままの表現がすばらしい!
版木では漢字をさかさまに彫っていますので驚きです。
<雲中供養菩薩V>
雲中供養菩薩Ⅵ
近藤盛英
作家自ら棚田を維持するボランティアとして奉仕活動中。
棚田を愛する作家、帰り道の作品にも棚田愛が伝わってきます。
<帰り道3>
末 崇子
作品の周囲に余白を残す手法は独特です。
水彩・油絵・彫刻など経験した後、現在木版画に転向し活躍中です。
フランスを訪れる機会が多く、作品も同国の風景と花が多い。
優雅な雰囲気と優しさを醸し出す作品が独特です。
<カサブランカ>
<サントマルグリット教会>
内藤三香
カラスはただの黒一色でないことを知りました。
黒の中にくすんだ黄緑・紫なども発見できます。
版数も7~8版使用し、たくさんの色を使い表現する作品が特徴です。小作品も見逃せません。
<カラス32>
<カラス33>
羽根由子
自然を愛し、従来から描いていた日本画は休止し、木版画と水彩画を中心に制作活動中。
さらに現在、色鉛筆を使ったペン画でのスケッチを日常的に行っています。
動物は猫大好き、作品のどこかに猫がいます。
今年の夏、絵を愛する夫とともに個展を30年連続開催し、地元新聞の話題になりました。
<それぞれの時間(とき)1>
それぞれの時間(とき)2
三宅 重
版画に取り組む情熱と研究熱心さはぴか一、作品の題材も広範囲です。
釣りと山登りを愛する健康ミドル。
<風光る>
風化する廃線
風の吊橋
向井久美子地。満州・渇きⅡ
旧満州引揚者、逃避行「画文集夕焼けの大地」の著者。
<満州・無言の地>
<キャプション>
ハルピンんで死んだ弟(2歳)と妹(3歳)の遺体はどこへ連れていかれたのだろうかどんなところで眠っているのか 誰も知らない
私はずっとイメージし続けている ひょっとしたら林の中 寒いよー 早く日本に帰りたいよー
冷たい雪の下で叫んでいるのだろうか 声なき声で・・・
<満州・渇きⅡ>
<キャプション>
食べるものもない、飲むものもない 喉がカラカラ どこかに水、水はないか、水を求めてふらふら歩いていた。
牛が通った荷車の後に溜まった水、轍(わだち)のたまり水があった。
喉の渇きに耐えきれず濁って汚い水を手ですくって飲んだ。
生ぬるい上に泥臭かった。さすがに康則(弟)には飲ませられず母ちゃんは自分の唾を飲まそうとしたけど、
その唾さえ出てこなかったんだよ。(姉の話)。
<ご参考>
横川美代子
俳句と版画の二刀流、創作活動にトライするスーパークリエイター。
次は、どんな作品が飛び出してくるでしょうか。
パリの女
ブライアン・メイ(クイーン)
生徒:夜の部
浅井重一・湿原の一隅
油絵・銅板を経験後、現在木版画でも才能を発揮中。
現在の版画作品も高い評価を受けています。
<湿原の一隅>
石川敦之
愛知芸術文化センター(愛知県美術館)の計画・建設にかかわった建築士。
建造物・橋梁などへの愛情が感じられる作品です。
風景に溶け込む中世ヨーロッパの建築物が清々しい。
こよなく愛する建造物をいかに簡略化するかトライ中。
渓谷
坂井陽子
版画初心者で、この作品!面白いですね~何か持ってます。
迫力ある大胆な構図、伸びしろ無限の新人です。
<樹1>
<樹2>
坂倉 健
羨ましい発想!自由で大胆な構図!見ていて楽しくなる版画です。
作品2点が効果的にコラボしています。
サボテン1
サボテン2
佐藤豊子
糸くずを工夫し貼り付けたマチエールが独特。
作品2点、それぞれの形及び彫りの変化の面白さをご堪能いただければ幸いです。
My World32
、My World33
藤﨑増男・刻-7,刻-8,刻-9
450年以上前から熱田神宮に存在する信長塀。
その築地塀の模様の変化と独特のマチエールを展開する作品が特徴。
今回は、3点での展示。刻-7は静、刻-8は光の強さ、刻-9は空気感を表現すべくトライしました。
<刻-7>
<刻-8>
<刻-9>
<刻-7・8・9、作成方法>
木版画教室③「刻-7」・「刻-8」・「刻-9」参照ください。
交換会作品
・・・木版教室で版画作品作りに切磋琢磨している、生徒同士の作品の交換会です。
毎年一回、サイズはA4以内の作品を教室の人数分だけ作ります。
互いに交換したのち、先生が中心となり講評します。
<交換会作品「ラディッシュ」、例>
<作成方法>
画像でわかる木版画の作品作り。工程・裏技・ヒント参照ください。
課題作品
今年の課題は、「紅葉」でした。生徒それぞれが課題の「紅葉」を版画作品で表現します。
<課題作品「紅葉」、例>
<制作方法>
木版画教室。「紅葉-1」・「紅葉-2」・「紅葉-3」制作過程、参照ください
小作品(蔵書票・年賀状・暑中見舞い)
・・・一番上は、蔵書票(自分の所有本を示す票)と決めてあります。
作者の名前も記入してあります。
縦列ごとに作者の作品が吊るしてあります。
二段目三段目は、年賀状か暑中見舞いです。。
<小作品:作成方法>
木版画教室②暑中見舞いから小作品・蔵書票・ヒント・制作過程、参照ください。
<小作品:(縦3列)の展示方法>
木版画小作品(縦3列)の展示例、額縁裏への工夫、参照ください。
火耀会木版画展のまとめ
・・・朝日カルチャーセンターにある木版画教室の仲間が、日ごろの制作活動の発表の場として毎年展示しております。
今回、新しい展示の試みとして小作品の三つを額に入れ、吊り下げるスタイルにしました。
従来と比較して見やすくなった、搬入時の展示作業と搬出作業の効率化が発揮できると思います。
反省は、一面に寄せて展示した場合、ともすると目線が全体に流れてしまう恐れがあります。
よってブロックに分けて展示すると、より見やすいかと思われ今後の課題としたいと思います。
作家は木版画の発展を維持しながら作る楽しさを学び、木版画ファンの方など、生徒の作品を観る楽しさを感じていただければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。