・・・現在、第27回火曜会木版画展(2022/10/18~10/23)に向け、展示作品制作中です。
今回、過去の暑中見舞いから蔵書票の制作にトライし、気づいた点などを記事にしました。
今後、暑中見舞いから小作品・蔵書票の制作などヒントや参考になれば幸いです。
木版画教室②暑中見舞いから小作品・蔵書票
(その1)過去の暑中見舞いから小作品へ
・・・今回、過去の暑中見舞いの作品「芙蓉」を小作品にできないかトライしました。
さらに、その小作品を蔵書票へトライし、そのヒント・制作過程を記事にしました。
酔芙蓉
芙蓉の仲間で毎年9月~10月にかけ開花します。
朝に白い花を咲かせ、夕暮れになると薄赤く変色し、その後しおれてしまいます。
まるで酒に酔った人のようで、その名がついています。
酔芙蓉(白から薄赤に変わる)を題材にしました。
過去の暑中見舞い、芙蓉から小作品の酔芙蓉へ
ヒント
1,白く咲いた後、夕暮れに向かい薄赤に変わったところを作品にする。
2,バックの背景と文字は省略し、薄赤に変色した花を目立たせる。
制作工程
過去の作品の版木が保管されている場合、彫りの作業が省略されます。
暑中見舞い「芙蓉」の版木も保管されていましたので、彫りの作業がなくラッキーでした。
1.酔芙蓉(一版目)
ヒント
1,過去の暑中見舞いの背景と文字を除き、酔芙蓉の小作品を作成します。
2,酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
2.酔芙蓉(二版目)
ヒント
二版目ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3.酔芙蓉(三版目)
ヒント
茎の部分ですが、あくまでも酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
茎の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
4,小作品「酔芙蓉」の完成
ハガキサイズの小作品「酔芙蓉」、落款を左下に押し完成です。
(その2)小作品から暑中見舞いへ
・・・(その1)小作品「酔芙蓉」から色違いの暑中見舞いにできないかトライしました。
(その1)小作品「酔芙蓉」
(その2)色違いの暑中見舞い
制作過程(色違いの暑中見舞い)
制作過程においてデザイン・彫りは、前述(その1)と同様なので省略し、ここでは摺りの過程を紹介します。
摺り1、芙蓉の花びら
花びらは出来るだけ絵具を薄く溶き、重ね刷りを前提とします。
摺り2、芙蓉の茎
茎は、花びらより濃い色彩にします。細いので摺り漏れのないように注意します
摺り3、芙蓉の影の部分
陰の部分は、花びら茎より濃い目の色彩にします。作品にメリハリをつけるため、影はしっかり彫ります。
摺り1~3の状態
全体のバランス摺り漏れ汚れ等ないかを確認します。
文字(なつ)と落款
文字(なつ)は、花びらの色彩(ターコイスブルー)を薄めない状態です。
最後の落款は、押し間違い(向き・ずれ等)を防ぐため透明定規の使用をお勧めします。
小作品から蔵書票へ
・・・上記、過去の暑中見舞いから小作品を作成し、さらに、酔芙蓉を蔵書票とします。
小作品から蔵書票にトライし、そのヒント・制作過程を記事にしました。
小作品からさらに蔵書票へ
ヒント
1,前述、酔芙蓉の小作品から蔵書票を作成します。
2,酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3,蔵書票なのでサイズをカットする。カットは花の下部分で花の先端は残す。
4,サイズをカットしますが、版木はカットしません。
摺らない部分をカバーし絵具を塗らないことで対応します。
5,EXLIBRISとNAMEの位置及びスタイルを検討する。色は全体のバランスを考える。
制作過程、
1,酔芙蓉の下部を覆う
酔芙蓉の下方の摺らない部分には、和紙でカバーをかけます。
和紙は、ハサミで簡単にカットできるのでおすすめです。絵具で弱ってきたら取り替えも手軽です。
2.酔芙蓉の上部を摺る(一版目)
酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で刷るのがコツです。
3.酔芙蓉の上部を摺る(二版目)
二版目ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
4,酔芙蓉の茎上部を摺る(三版目)
茎の部分ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
茎の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
5,EXLIBRISとNEMEを彫る
通常直線に蔵書票と名前を入れますが、作品と文字を合わせ、全体のサイズを抑える。
酔芙蓉の雰囲気を壊さないことを勘案し、酔芙蓉を囲むように八の字の曲線にデザインしました。
EXLIBRISと名前の部分ですが、酔芙蓉の薄赤を表現したいので、
文字の部分も絵具は薄くし、水気も乾いた状態で摺ります。
6,蔵書票の完成
蔵書票の作品交換会
・・・蔵書票作品の交換会仕様について、先ず完成品をご覧ください。
完成品(その1)
ヒント
1.蔵書票の作品は本に貼る前提があります。
よって交換会の作品を貼る台紙は、はがき大となります。
2.版画作品なので、ハガキ大の紙をくり抜いて紙マットを作ります。
3.はがき大の紙マットは、めくれるように上部を台紙に接着(テープ又はノリ)します。
制作過程
1.用意する物
台紙になるハガキ大の紙とマットの役目をする紙を用意します。
大きな画用紙をハガキ大にカットしても良いですが、百均のハガキ(55枚・白)でも十分です。
2.事前作業
あらかじめ、マットの役目をする紙を作品大にくり抜く作業をします。
3.台紙とマットを合わせる
台紙とマット紙の上部を、テープ又はノリで貼り付けます。
3-1.テープで合わせる。
3-2.ノリで合わせる。
4.作品の位置の調整
作品を台紙とマット紙で挟む作品上部の位置を、カットしながら合わせます。
作品を台紙とマット紙に挟んだ後、くり抜いたマット紙に対し、作品の位置を調節します。
5.作品下部をカット
台紙とマット紙に挟み、はみ出した部分をカットします。
はみ出した和紙は、マット紙の上から定規で押さえて固定しカットします。
6.「作品交換会」へ蔵書票完成
台紙とマット紙の接着は、テープとノリどちらでも構いません。
写真左は作者自身用、写真右側はYOURNAME(君の名は)=書籍所有者の名前です。
完成品(その2)
前述、完成品(その1)と同じ工程で完成品(その2)を作成しました。花の色を青系に変えています。
木版画教室②のまとめ
その1、ヒント・制作過程
・・・今回、「酔芙蓉」を題材にした暑中見舞いから小作品・色違いの暑中見舞い、蔵書票の制作過程・ヒントなど記事にしました。
そう考えると、暑中見舞いに限らず、年賀状とか過去の作品の中に、
その時は気づかなかった、新たな作品のヒントが隠れている可能性があるかもしれません。
絶えず新しい作品を求めて、自分をが追い詰めすぎると、好きな木版画がストレスになっては本末転倒です。
マットトリミング法など使い、過去の作品を展開できないか考えながら、
自分なりの工夫で、木版画を続けたいと思います。作品交換会の記事も参考になれば幸いです。
(その2)酔芙蓉、情報メモ
基本情報
原産は中国や日本で、花色は白・ピンク・濃いピンクへ変わるのが特徴です。
花言葉
「しとやかな恋人」「繊細な美」「心変わり」「幸せの再来」です。
このうち、「心変わり」を除いた花言葉は、芙蓉の花言葉でもあります。ネット情報。
最後まで読んでいただきありがとうございました。